Case

導入事例

中山間地域の“町全体DX

壮瞥町が多用途で活用するスマート農業モデル

北海道・壮瞥町は、点在する圃場の見回り負担、鳥獣害、気象差による生産リスク、温泉インフラ管理など、農業・町運営の多岐にわたる課題を抱えていました。IIJは町全域に LoRaWAN® を整備し、水田・気象・鳥獣害・ハウス栽培・温泉ポンプ監視など多用途で活用できる仕組みを構築。町全体で使える「汎用プラットフォーム」として、省力化・リスク低減・効率的なインフラ運用を実現しました。

北海道有珠郡壮瞥町様

北海道有珠郡壮瞥町は、胆振総合振興局の西部に位置し水稲、畑作、果樹、畜産など多種多様な農業が盛んな中山間地域であり、また、洞爺湖、有珠山、昭和新山そして温泉など豊富な天然資源に恵まれた農業と観光の町である。一方で、深刻な担い手不足などを抱えており、令和2年度からの9年間は「第5次壮瞥町総合計画」に掲げた4つの柱の1
つである「元気な産業のまち」を基に町の主要産業である農林業の振興に取り組んでいる。

総面積
水田
畑地
20,501ha
310 ha
1,170 ha
総人口 2,743人( 1,170世帯)
農家戸数 125 戸
作付上位品目 米(113 ha)
小麦(117 ha)
ブロッコリー(94 ha)
トマト(6 ha)
一般会計規模
農林水產業費
40.2億円
2.66億円
地域区分 特定農山村地域,過疎地域
・ 令和4年度農林水産省統計データ:https://www.machimura.maff.go.jp/machi/index.html
・令和4年度 北海道壮瞥町 財政状況資料集に基づく

地形も気候も厳しい中山間地で、農業・インフラ・防災まで“ひとつの通信基盤”で多用途活用

壮瞥町は、点在圃場・山間部・湖畔部など地形が複雑で、寒冷地ゆえに設備も故障しやすい地域です。 LoRaWAN® ゲートウェイを設置し、町全域をカバーする広域通信を構築。これにより、水田管理、気象観測、鳥獣害対策、ハウス環境管理、温泉ポンプ監視といった多用途で活用できる町全体DX基盤を実現しました。

【用途の種類】

  • 水田
  • 施設園芸
  • 露地
  • 鳥獣害
  • 河川・ため池・用排水
  • 施設監視

LoRaWAN®ゲートウェイ
公共施設等に無線通信基地局を設置し、市内の主要エリアをカバー

水田センサー
水位、水温を計測し、データ分析による生育ステージ把握も可能

町内の“実際の気象”を捉え、ハウス栽培・露地の判断精度を向上させる地点モニタリング

壮瞥町は隣町 AMeDAS から10km離れ、町内の体感気象と予報にズレがありました。そこで町内に気象センサーを新設し、温度・湿度・雨量・風速などを正確に把握。さらに、冬季の“オロフレトマト”ハウスには温湿度・土壌水分・CO₂等を計測する環境センサーを設置し、地点ごとの気候差を踏まえた栽培判断が可能に。これにより、見回り頻度を削減しつつ、寒冷期の温度管理精度が向上しました。

【用途の種類】

  • 水田
  • 施設園芸
  • 露地

気象センサー
温湿度、雨量などを計測し、気象データとして活用

環境モニタリングセンサー
ハウス内環境を計測し、温度管理等に活用

簡易気象センサー (温湿度センサー・雨量センサー)
地域内の複数の代表的な地点の温湿度・雨量を把握

エゾシカ被害を“効率的に抑える”——罠センサーとカメラで見回り負担を大幅削減

壮瞥町では果樹の樹皮を食害するエゾシカ被害が深刻で、罠の見回り・維持は大きな負担でした。導入した罠センサーと静止画カメラにより、罠の作動をリアルタイム把握できる仕組みを構築。見回り頻度が減ったことで、限られた人員の中で“捕獲効率を上げる”仕組みとして高い評価を得ています。

【用途の種類】

  • 鳥獣害

罠センサー(くくり罠)
罠の作動を通知し、見回りを効率化

静止画カメラ(囲い罠)
罠の状況をリアルタイムでモニタリング

町の重要インフラ“温泉ポンプ”を遠隔監視し、停電時の緊急対応をゼロに近づける

壮瞥町では、温泉熱を病院・施設・ハウス栽培などに供給する温泉ポンプが重要インフラとなっています。これまで停電時は現場まで確認に向かう必要があり、業務負担が大きいものでした。IIJは制御盤に後付けできる低コストセンサーを取り付け、稼働状況(電流・電圧)を遠隔で把握できる仕組みを構築。停電時の出動が不要となり、人的負担の大幅削減とインフラ安定性の向上を実現しました。

【用途の種類】

  • 施設監視

温泉ポンプと制御盤
山奥の雪中にもかかわらず緊急対応が必要な温泉ポンプ

計装信号取得装置
現地の状況を知らせる後付け遠隔監視システム